【ノレソレ】が描く、サイコパスの恐怖と苦悩を描く
サイコサスペンス『父さんはひとごろし』。
この記事は核心に迫るネタバレを紹介しています。
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人気サイコサスペンスコミック『父さんはひとごろし』
この漫画は45話で父さんが息子・駿に対して最期の頼みをします。
その頼みはとても身勝手で恐ろしく、同時に悲しいもので、駿の心に大きなしこりを残すことになります。
父さんはなぜそんなことを言ったのか。どこまでほんとでどこから嘘なのか。
それではここから記事を書いていきます。
ネタバレではなく自分の目で確かめたい方はブラウザバックしてください!
Contents
父さんはひとごろし 父さんが言いたかったこと
戸叶に首を刺された父さんは、この時に駿に頼みごとをしました。
『こいつを殺せ』
続けて父さんは駿への感謝の気持ちを述べます。
「お前が俺を良く思ってないのは分かってる」
「だがこれだけはわかってくれ。お前は俺の救世主だ」
「お前を通して、『普通』をしることができた」
「感謝してるんだ。普通の父親になれるよう努力してきた。これからもそうする」
「だから頼む。助けてくれ」
本文の内容になるのである程度文章は変えました。
読んでるこちらも恐怖を感じるほどの温度差があります。
一体どういうつもりで殺害依頼と共に感謝の言葉を述べたのかを考えていきます。
まともを知った?どうして犯罪をしなくなったのか?
25年前の事件が父さんであることが判明した後、父さんは少年院から出所後、平穏を求めるようになっていました。
罪を償って改心したのか・・・?と思いきや、
平穏を求める理由は、『本能丸出しになれば事件になって捕まって損をするから』というもので、モラルや道徳心からではなく、損得勘定で出した結論でした。
まともであればあるほどストレスを抱える。
人を傷つけたいけどそれをやれば平穏は望めない。
作中、父さんは出所後の生活でただひたすら我慢していたことを語っていました。
損得勘定でメリットとデメリットを秤にかけ、父さんは人を傷つけず、平穏を選ぶことになりました。
この平穏は父さん風にいえば『まともな状態』ということ。
ですが、損得勘定で線引きをしている以上、父さんは潜在的な欲求を抱えたまま、欲求を叶えることなく我慢していることになります。
猫殺しの犯人を拷問しようとしたことが、父さんが日々抱えているストレスの大きさそのものだといえると思います。
まともを知ったのに結局まともになれない。
罪を償うため、更正するために少年院に入ったものの、ほぼ効果はなかったといえます。
最期の『殺害依頼』と『感謝』の二つの言葉は互いに対極に位置している言葉です。
結局父さんは『まとも』の存在を知っているだけで一つもそれが理解できておらず、ただただ自分が『異常』であることをよく表しています。
結論。最期の言葉の意図は?
父さんのようなタイプのサイコパスは打算的で、人の心の隙間に訴えて取り入るような魅力的な言葉も使いこなします。
感謝の言葉は、見事に駿の心を動かしました。
茉莉に止められなければ、駿は父さんの願い通りに戸叶を襲ったかもしれません。
そんな父さんの最期の言葉にはどんな意図があったのか。
意図としては以下3つがあると思います。
- 駿に分かっていてほしかった。
- 自分の人生をめちゃくちゃにした戸叶に一泡吹かせたい。
- 最期の瞬間だけでも、願望を叶えたい
父さんは普通でありたいという願望を持っていましたし、人をめちゃくちゃにしたいという願望も持っていました。
当然自分の平穏を破壊した戸叶を殺したいと思ってるし、その戸叶が泣き叫ぶ姿が見たいと思っています。
だから、いずれかが本心というより、いずれも本心なんだと思います。
最期まで誰にも理解されないという父さんのキャラクター性をよく表していたと感じました。
まとめ 考えれば考えるほど父さんが可哀想だと思った
父さんが園部を殺した際、『俺は可哀想だろ』と言いましたが、
本当にそう思います。
多分、父さんの色んな問題行動、思考、思想を含めて『可哀想な人間』ということを駿に伝えたかったんだと思います。
誰にも理解されず、自分の欲求を叶えることができず、現実として『酷いことをしないと喜べない』という自分。
最終的には駿とも、理解しあうことができず、異常者として生を終えました。
母さんという存在がいましたが、母さんは理解者というよりも、自分のやりたいことをナビゲートしてくれるサポーター寄りなので、理解者の範囲からは乖離しすぎています。
もう少し父さんの扱いについてどうにかできなかったのかなーと読み直すたびに何度も思ってしまいますね。
それではここでこの記事を終わります。最後までありがとうございました。